就業規則作成のすすめ
就業規則といえば面倒で労働基準法で規定されていなければ作成しないでおきたいと考えられている会社もあるのではないでしょうか?
近年、労働者を保護する法律の施行や改正が行われ労働者の権利意識も高まっており、全国の総合労働相談コーナーに寄せられる相談件数は12年連続100万件を超え、令和元年度118万8,340件(対前年度比6.3%増)となっています。
社長さんの頭の中にあるルールでは 従業員からの問い合わせに回答がバラツキ不信感が募ります。回答が曖昧になると従業員は不安に思いこの会社で働くことへの不安につながります。
従業員にとって働きやすい環境を作り従業員満足を上げる事は、会社を守り労働生産性の向上へとつながるものと思います。社内ルールを従業員へ浸透させ労務トラブルが発生しないようにすることが大切です。会社を守るツールとして就業規則を活用していただきたいと思います。
就業規則に書くべきこと
■絶対的必要記載事項
・始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合おいては就業時転換に関する事項
・賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
・退職に関する事項(解雇の事由を含む)
■相対的必要記載事項
・退職手当に関する事項(適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払い時期に関する事項)
・臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金に関する定め
・食費、作業用品その他労働者に負担させる事項
・安全及び衛生に関する事項
・職業訓練に関する事項
・災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
・表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
・前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
■任意的記載事項
・絶対的記載事項、相対的記載事項いがいで任意で定めることができる事項
従業員数10人の会社に未満就業規則は必要か?
就業規則には従業員満足を上げ労働生産性の向上を図る事ができるツールでありこれらのメリットを自ら捨てることはもったいない事だと思います。常時雇用する従業員が10人未満で法的義務がない事業場であれば労働基準法では作成義務はありませんが、会社の継続的な発展のためにも就業規則を整備することをお勧めします。
他社で作成した就業規則の流用は危険
同業者であればやっている事も同じと考え他社の就業規則をそのまま流用しようとする会社もあるかもしれません。
しかし会社が違えば、実態が違いルールが違うのは当然です。従業員数が少なく何とか仕事を回しているような会社に病気休職期間が2年間と定められていたり、正社員のみ退職金を支払うつもりが全従業員に支払う定めになっていたりと想定外の規定になっている事も考えられます。
「知らなかった」では通りません。労働条件を変更するにも労働者の同意が必要になり大変な労力が必要になります。就業規則は自社で実態を検討し作成する必要があります。厚生労働省のモデル就業規則をベースに作成する事も可能です。
厚生労働省のモデル就業規則を活用して作成する場合の留意点
モデル就業規則を参考に作成すれば、法的に必要な事項の抜け漏れを防ぐ事ができます。しかし、モデル就業規則はあくまで就業規則の例を記載されたものであり、一字一句そのまま使用する事を目的としたものではありません。
正社員のほかパートタイム労働者やアルバイト等雇用形態の異なる従業員が複数いる場合や労働時間、賃金等も会社によって異なります。入社時の提出書類や、休職期間に関する事等、細かく書き出すときりがないですが、モデル就業規則を参考に自社の実態を整理し書き出してみてはいかがでしょうか?
単にモデル就業規則のコピペや穴埋めをするのではなく、自社のルールに合わせて条文を修正し、自社内で運用しやすい就業規則にしてご活用ください。