社会保険労務士を活用し労務管理を円滑にするための基礎知識

 

 

社労士さんという呼び名が一般的になり最近では雇用調整助成金の申請代行手続きなど社労士の認知度は高くなっています。以前は生命保険の外交員と間違われるようなことがあり知名度は高くなかったようです。しかし、知名度が上がってきた現在でも社労士はどういう仕事をする人なのかをはっきりと知らない方が多いと思いますので、社労士の仕事についてご紹介したいと思います。

社会保険労務士という仕事

会社で働く労働者について国が定めた労働法や社会保険法といった法律(以下、労働社会保険関係法令)に適合するよう会社に対して助言・指導をする専門家です。事業主に代わって書類を作成し行政機関に対し手続きを行います。具体的には次のような業務があります。

 

社会保険労務士が行う業務

社会保険労務士が行う業務に1号業務、2号業務、3号業務と呼ばれるものがあります。

  • 1号業務・・・
    労働社会保険関係法令に基づいて行政機関に提出する書類の作成や当事者の主張や陳述を代理人すること(労働保険・社会保険の加入手続、労災事故発生時の手続、従業員の私傷病や出産に関する手続、労働保険・社会保険の保険料の申請手続き、各種助成金の申請手続き等)

※助成金とは、国が推進する一億総活躍社会の実現や労働生産性の向上等の政策を実現するために、厚生労働省が行う施策を実行する事業主に対して支給される支援金のことです。 助成金の一例はこちら

  • 2号業務・・・
    労働社会保険関係法令に基づく帳簿書類を作成すること(必ず会社に備え付けておかなければならない労働者名簿、出勤簿、賃金台帳や雇用条件通知書等の作成等)
  • 3号業務・・・
    労務管理や社会保険に関する相談に応じ、又は指導をすること(いわゆるコンサルティング業務等)

 

このうち1号業務、2号業務が社労士の独占業務となっています。独占業務とは、他人の求めに応じて報酬を得て業務を行う場合、必ず社労士が行う必要がある業務です。3号業務については個々の社労士が独自の特性を活かし労務管理に関する提案、年金相談、助成金に関する提案などを行っています。これら全ての業務を一社労士が行っているというものではなく障害年金専門の社労士や助成金専門の社労士など専門分野に特化した社労士もいらっしゃいますのでお近くの社労士事務所へお問い合わせください。

 

開業社労士の登録人数

2021年5月末現在の開業社労士の登録人数は27,508人(社労士法人含む)です。お近くの社労士は各都道府県にあります社会保険労務士会のHPで検索できます。

 

社会保険労務士になるには

社会保険労務士試験に合格し、社会保険労務士連合会の社会保険労務士名簿に登録することが必要です。社会保険労務士になる流れは以下の通りです。

 

社労士資格流れ

全国社会保険労務士連合会HPより

受験資格のあるものとは、1.学歴、2.実務経験、3.試験合格の3ついずれかの要件を満たす必要があり例えば短大卒以上の学歴を有する者、実務経験が3年以上、行政書士の資格を有するもの等です。

社会保険労務士試の合格率は年によって増減はしますが、約6%~7%で推移しています。

 

おわりに(社労士を使うメリット)

労働社会保険関係法令の改正が頻繁に行われ都度内容を把握し対応することは難しくなっています。労働者の権利意識は以前にも増して高くなってきており、法律違反があると行政機関への訴えや相談を通して会社に指導が入いる事があります。その為、改正の度に誠実に対応する必要があり労務管理に要する負担も大きいものと言えます。

社労士を活用することで法改正情報をはじめ、業界知識や社会的動向について社労士がもつ知識や情報を得ることができ、正確で迅速に業務を処理する事ができる為、労使のトラブルが発生するリスクを減らすことができます。その上、社内で人事・労務管理担当者を育成するよりもコストが安いため会社の経費負担を減らすことができます。なにより煩雑な業務から解放され自社の業務に専念することのメリットは大きいと言えます。

是非、社労士の持つ知恵や情報を活用し会社経営のお役に立てていただければと思います。