賃金引上げの検討にキャリアアップ助成金(正社員化コース)を活用
全国加重平均1,000円を目指し令和3年10月以降の最低賃金が引き上げられる予定です。自社が雇用する労働者の賃金を引き上げる必要がでてくるかもしれません。そこで最低賃金の引上げに追われる形で賃金の引き上げをするのではなく、労働者の意欲を高め優秀な労働者を確保する目的で積極的に賃金の引き上げを検討される会社に是非活用を検討していただきたいキャリアアップ助成金(正社員化コース)について紹介したいと思います。
キャリアアップ助成金各コースの概要
有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者のキャリアアップを促進するための施策を実施した会社に対して助成金が支給されます。
本助成金は次の7つのコースに分けられます。
- 正社員化コース
有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換した場合に支給されます。
- 賃金規定改定コース
賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給させた場合に支給されます。
- 賃金規定等共通化コース
正規雇用労働者と共通の賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に支給されます。
- 諸手当制度等共通化コース
正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設け、適用した、または有期雇用労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに設け、延べ4人以上実施した場合に支給されます。
- 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
有期雇用労働者等を新たに社会保険の被保険者とした場合に支給されます。
- 短時間労働者労働時間延長コース
週所定労働時間を延長し当該有期雇用労働者等を新たに社会保険の被保険者とした場合に支給されます。
支給対象事業主(各コース共通)
- 雇用保険適用事業所であること
- キャリアアップ管理者を置いていること
- キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けていること
- 対象労働者に対する労働条件、勤務状況及び賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができること。
- キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだこと
正社員化コースについて
支給要件
雇用されていた期間が通算して6か月以上の有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換し6か月以上継続雇用た場合に支給されます。
支給額
< >は生産性の向上が認められる場合の額、( )内は大企業の額
対象となる労働者
- 雇用された期間が通算して6か月以上の有期雇用労働者等又は事業主が実施した有期実習型訓練によるを受講し、修了した有期雇用労働者等
- 正規雇用労働者等として雇用することを約して雇い入れられた有期雇用労働者等でないこと。
- 転換を行った適用事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること。
- 障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律施行規則に規定する就労継続支援A型※の事業所における利用者以外の者であること。
- 支給申請日において、転換または直接雇用後の雇用区分の状態が継続し、離職していない者であること。
- 転換後の雇用形態に定年制が適用される場合、定年年齢に達する日までの期間が1年以上である者であること。
- 支給対象事業主または密接な関係の事業主の事業所において定年を迎えた者でないこと。
※就労継続支援A型の事業所とは、通常の事業所に雇用されることが困難な人を対象に雇用契約を結び就労機会を提供する福祉サービス。
対象とな事業主
- 有期雇用労働者等を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換する制度を労働協約または就業規則その他これに準ずるものに規定している事業主であること。
- 1.の制度の規定に基づき有期雇用労働者等を転換し、転換後6か月以上の期間継続して雇用した事業主であること。
- 支給申請日において当該制度を継続して運用している事業主であること。
- 転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間の賃金より3%以上増額させている事業主であること。
- 当該転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、雇用保険被保険者を解雇等事業主の都合により離職させた事業主以外の者であること。
手続の流れ(正社員化コース)
生産性要件とは
生産性を向上させた場合、支給額が増えます。次の方法で計算した「生産性要件」を満たしている場合に増額加算されます。
- 助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、その3年度前に比べて6%以上伸びていること または、その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること
- 「生産性」は次の計算式によって計算します。
※ 付加価値とは、企業の場合、営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課、の式で算定されます。
おわりに
助成金申請に必要な書類として以下の書類が必要になります。まだ整備されていない会社は準備する必要があります。4.就業規則については労働者数10人未満の会社については作成・届出の義務はありませんが、助成金申請の要求事項として規定の整備が求められますので作成が必要になります。
- 雇用契約書または労働条件通知書
- 出勤簿
- 賃金台帳
- 就業規則
様式は厚生労働省のHPよりダウンロードが可能です就業規則に関する記事も参考にしてください。「就業規則作成のすすめ」